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ロビン・フッドのくりふのレビュー・感想・評価

ロビン・フッド(1991年製作の映画)
3.5
【バディなロビン】

ラッセルロビンをみた後で、ケビンロビンも気になったので、み直しました。記憶に残るトホホ感は覆され、面白かったです。再会の価値アリ、でした。

英国を舞台とする伝説がネタでも、まったくアメリカ映画の味わいですね。バディ・ムービーの要素が濃ゆいところなんて、とってもハリウッド風味。

ケビン・コスナーがまだ、世の中に神通力持ってた頃の作品ですね。

ひー、全裸が見せ場になってる! …でも、ちっこいな。

…あ、画面の中でちっこく映ってるって意味です。…全身がですよ、念のため。

逆にマリオンなぜ脱がないぷんすか! ちっこいケビンは誰向け特典だよ!?しかし脱いでもケビン、薄いなあ。

…額付近でなく存在感って意味ですよ。

音楽の高揚感含め、宇宙戦のないスター・ウォーズってノリですね。単純にチャンバラやって弓打って勝とうぜ、というカタルシス狙い。

SWシリーズの影響力はやっぱり大きかったよなあ、と思いつつ、元々、SW自体が剣戟映画の復活をも狙ったものでしたから、映画史が生み出した爽快感は、やっぱり何度も反復されてるわけですね。こんな資産の有効活用は大歓迎ですが、最近またこれ系、ご無沙汰ですね…。

が本作も、爽快感は最大化までは行かず、腰砕けになっちゃうのが残念。シリアスな闘いが盛り上がってくると、肝心な所で演出力が息切れしてます。またクライマックスで、おフザケ要素がかなり高まっちゃう。この軽さがいい、という人もいるのでしょうけど、私はちょっとねー、です。

アラン・リックマンの悪代官をバカ殿にしたことが、一番の要因でしょうか。でも彼、ホント楽しんでバカ演ってる、というのはネチネチ伝わりいい感じ。

「自分像」を作るのは面白かった。大体、独裁者って大きく作りますよね。虚像を巨像に見せるために。でもこの代官様は、律義に等身大にしてる。初めはカメラアングルで大きく見えるんだけど、段々小さくなる(笑)。で、像が彼の行末を予言するようになる。インチキ魔女より当たってました。

複合家族の問題にも触れたりして、物語としては意外と厚みがありますね。

で人種問題や、制作当時の世相を背負うように、モーガン・フリーマン登場。飄々として重厚。ある事情でロビンについてくる、敵兵ムーア人ですね。ムーア人=黒人、ではないと思うのですが、アメリカ映画として考えると、黒人でムスリムって設定は、重いもの背負ってるのではないでしょうか。

で、そんな人物と組む、という点が本作の、注目ポイントかと思います。この辺、湾岸戦争の反映かとも思いますが、まあそこまで気にせんでも、異文化ギャップを抱えたバディ・ムービーとして、単純に面白いですね。

ロビンの望遠鏡無知ってネタ、笑いました。時代的にイスラム科学の方が、圧倒的に進んでるってワケですね。

結局は、モーガン演ずる異邦人も、記号化されたエキゾチズムに収まってはしまいますが、異文化への敬意はそれなりに感じられたし、悪くないと思いました。

勇ましきマリアン役のメアリー・E・Mさん、初めはいいんですけどねえ。結局は男の所有物みたいな受け身となり、揺れることピンボールの玉の如し。ロビン助けて~、なんて公開当時でも死語でしょ、言っちゃダメですよ(笑)。2010年版ロビンの、ケイトさんを見習って欲しいものだと思いました。

が、色々あっても「王の帰還」であの方が登場し、全て締めちゃいますからね。どうしたって、メデタシメデタシ気分になってしまうのでありました(笑)。過去のロビン映画から、見事に「復活」してみせましたね。流石であります。

<2011.2.13記>
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