爆裂BOX

ジョン・カーペンターの 要塞警察の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

5.0
リメイクを再見したのでオリジナルも再見。やはり何度見てもかっこいい映画ですね。カーペンターの劇場用映画デビュー作ですが、その後のカーペンター映画の要素がすでにぎっちり詰まってますね。
前半は警部補になって初任務に臨むビショップ、護送される凶悪犯ナポレオン、祖母の家に向う父娘と仲間を殺された報復に無差別殺人を企むストリートギャングの四者を並行して描き、引っ越しの為閉鎖間際の警察署へ集結する様をテンポよく描きます。
本作の敵であるストリートギャングの不気味極まりない描き方が最高ですね。一応冒頭で警察に仲間を殺された報復という理由があるようですが、車から一般人を狙ったり、移動販売のアイスクリーム屋を襲ったりとまるで無差別な殺戮が恐ろしいですね。少女を容赦なく射殺するシーンは非常にショッキングです。父親に射殺されるシーンでも悲鳴一つ上げずに無表情で倒れる様もインパクトありました。そして警察署を包囲するシーンではドンドンワラワラと登場してきて窓ガラスをぶち破って中に入ってこようとする所やどんどん仲間が撃たれてもまるで動じず無表情で襲ってくる様は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のゾンビを彷彿させます。この人間の姿形してるけどまるで人間性を感じさせない描き方はその後の「ハロウィン」のマイケルに受け継がれていくんですね。
寡黙でキザでクールな囚人のナポレオンも後のスネーク・プリスケンの原型となるだけあってカッコイイです。殺人をしたというだけで具体的にどういう事をしたのかを語られない所も良いですね。女性警官リーとの恋愛になりそうでならない関係も良いですね。「タバコあるか?」リーがすっとタバコを差し出して火をつけるシーンはシビレました。ビショップと戦いを通して信頼を築いていく姿も過剰な演出なくサラッと描いていくのもかっこいいです。ラストのやりとりも本当にかっこいい。
サイレンサーを使った一斉銃撃シーン静かで不気味な迫力があります。カーペンターも認めてますけど最後の爆発シーンはしょぼかったですが(笑)
ラスト、警官と連行される囚人ではなく、共に戦場を戦い抜いた戦友として並び立って歩いていくビショップとナポレオンの姿が何回も言いますけど本当にかっこよくてシビレます。
カーペンターファンのみならず一度は見ておいて損はない作品だと思います。