R

悪魔のかつら屋のRのレビュー・感想・評価

悪魔のかつら屋(1966年製作の映画)
2.9
ようやく見ました! 我が映画人生を定義し、原点となった作品のひとつ、悪魔のかつら屋! 僕が最初から最後まで見通すことのできたはじめての映画! 僕が5歳から6歳のあいだの時期、なぜかうちに転がっていた数作のホラー映画……『死体と遊ぶな子どもたち』『悪魔の沼』『バスケットケース』などなど、どの作品も幼き我がまなこには地獄の恐怖で途中で見るのを放棄しておりましたが、はじめて一本の映画を完遂し、爽快な達成感が五臓六腑に染みわたった感覚をいまだ忘れることができずにおります。当時は映画とは恐ろしいものだというイメージしかなかったなぁ……と懐かしい気持ちになりながら、オープニングを見ると、何と、ピカソ作かと思しき下手糞な作りの2体の人面ウィグスタンドにウィグがかかっており、外野の人物がそれらを気持ち向かい合わせると、ふたりのウィグの対話が始まります。新入りのウィグと古参のウィグがマウントを取り合っている。いつの時代も、ウィグ同士であっても、女というのはマウントを取り合うのか、これはもはや永遠の真理か。一方は女子大生の髪から創作されたウィグらしく、ロドニーという男に頭皮を丸ごと剝がされたの❤️といきなり壮大なネタバレしてるやん笑 延々と無駄な対話が5分くらい続いた後、先輩かつらがスタンドからむしり取られて頭頂にナイフが突き立てられ、流血して死んでしまう先輩ウィグ。からの、出ました! かつらがふさふさ並んでるかつら屋の飾り窓! 僕が幼少期から記憶していたとおり、100%ヒューマンヘア、販売中と書かれたウィンドウ! 懐かしすぎて涙が溢れました。カメラがパンすると壁には貸し部屋ありのサインが。夜道を歩いてくる女子大生は貸し部屋の内覧へ訪れて来た。玄関に現れたのはやたらテンションの高い老婦人。ニッコニコでナポレオンと名付けられた子豹の剝製に話しかけながら、まぁ何と美人さん、きれいなヘアね、とべた褒めしたあと、女子大生を奥の部屋に連れていき、かつら屋を通って、さらに奥の部屋に……と突如女子大生をバーンと奥の部屋に押し込んで鍵をかける。内部は倉庫になっていて奥からババアの息子・気狂いロドニーが上半身裸で襲い掛かかる。なぜかたいして抵抗しない女子大生。その頭の皮膚をナイフでべろんべろんと削り取り始める。はぎ取られた皮膚の肉感と血糊のべっとり感があまりリアルじゃないのだけれどもなかなかエグくて素晴らしい👏 ただ、このえぐいシーンはまったく記憶に残っておらず。トラウマになるといけないと判断した脳が勝手に消去したのだろうか。そして素敵なウィグが出来上がり、続いてタイトルコール。クールなジャズが流れ、ほぉこじゃれてるじゃないか。次にスクリーンに登場するのはブロンドの主人公キャシーとその彼氏。彼らの通う大学の女子大生が幾人か姿を消しているということで、ミステリー好きのキャシーは探偵気取り。あの用務員さんが怪しい!👉ビッと気の向くまま根拠なき容疑を向け、彼氏そっちのけで尾行開始。ここからスリルのまったく欠如した、ゆるさの極みのような尾行シーンが延々と続き、しかもそのオチが衝撃的なほどのどうでもよさ。この絶望的に無意味なシーンだけで10分くらいあったんちゃうか。のんきすぎる。そのあと、ドライブインシアターでダブルデートするキャシーが彼氏とぶちゅぶちゅキスしながら見てる映画がこれまた意味不明。テーブルについて男女がお酒を飲んでおり、女が男に「愛してるわ、あなたがほしい」とほざく横で、ポテトチップスを手一杯とってばりばり食いフルーツを貪りながら女をガン無視する男、みたいなシーンが口元のみドアップで描かれていて、それを見ながら、「どうでもいい映画だな」とつぶやいてる人物を見て、いや、俺の見てるこの映画もたいがいどうでもいい映画やで。その後も、女子寮のなかで女子たちが延々とラジオに合わせて踊るシーンや、ビーチでぎゃあぎゃあ遊ぶシーンなど、どうでもよすぎる退屈なシーンが漫然と描かれたあと、こんどはキャシーの僚友がお部屋探しにかつら屋を訪れたところ、ママからプレゼントでもらった電動ナイフでロドニーが殺害~~~。友人が行方不明になっておかしい! どうなってるの! と再び探偵キャシーは動き出す。果たして、キャシーは犯人を突き止めることができるのか? 彼女はその美しいブロンドヘアを守ることができるのか⁈ というゆるさ以外に何ら取り柄のないどうしようもないホラー英語で、その後はゴアシーンも少ししかなく、まぁレバーのシーンだけはなかなかきもくてよかったかな、というぐらい。中身のない空虚なシーンの連続で、映像も平坦、緊張感ないし、おもんねーなおい、と思いながらも、現代となってはポリコレ・コンプラで描けなくなったろう知恵遅れっぷりを見せるロドニー、息子に負けず劣らずの狂人ッぷりで舞台劇のような演技のおかん、演技のへたくそすぎる主人公たち、とインパクトだけは強烈な人物を頼りに、無事、人生で二度目、『悪魔のかつら屋』、見終わることができました!👏👏 なんかもうここまで来ると感動やわ。ありがとう。人生初のフル映画体験を追体験。それにしても、出てくる女子大生みんな今の感覚で見るとすでにおばはんの貫禄。みんなヘアスタイルが凄かくて、かつらかぶってなくてもかつらかぶってるみたいに見える笑 それに比べて、男子は現代もそんなに変わりなく、彼氏もそこそこイケメンやし、ほかに出てくる男子たちもまぁまぁイケメン揃い。やっぱそもそもの素材にはあまり手を加えず時代に左右されないシンプルなフッションを選んだスタイルがいちばん永遠性があるんやろうな、と思わざるを得ませんでした。いやー、おもんなかったけど、おもろかった。よかったよかった。うれしかった。ただ他人には絶対にお勧めすることはできない、マジどーでもいい映画です。しかし、クソクオリティーのB級映画が三度の飯より好きという個性の方には自信をもってオススメします。我がアンデンティティーの根底を支える極めて重要性の低い駄作。ぜひ見てみてください。スコアは思い入れ加点です。
R

R