不在

パラードの不在のレビュー・感想・評価

パラード(1974年製作の映画)
4.8
タチは観客が望む全てを見せてくれる。
見たいもの、聴きたいもの、期待したもの全部だ。

彼は本来存在するはずのないカットという編集で、舞台劇に映画としてのリズムを加えていく。
しかしそんなカットされた間すらも頭で補完してしまうほど、私達はショーにのめり込んでしまう。
気付いたら自分もあの観客席で手を叩いているのだ。
そしてどんどん演者と観客との境界が取り払われ、サーカスは終わりに向かう。

ショーが終わると子供達が舞台に上がり、真っ白なステージに自由に絵を描いていく。
タチは次の世代の為に、ステージを塗らないでおいたのだ。
そして舞台からタチはいなくなり、まるでバトンを渡すようにしてこの映画は終わる。
タチの目指した喜劇の民主化はこれで完成したのだ。
不在

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