誰もが羨む、豪奢な暮らし。
足を踏み入れてはじめて分かる、そのむなしさ。
金に取り憑かれた人間の行く末は、あらかじめ決められているかのようだ。
ジャンヌ・モロー演じる美しき小間使いも、空虚なブルジョワたちとなんら変わりない。
金、金、金。
人々はそんなものに祈りを捧げている……。
いつの時代も、資本家や政治家といったものたちが貧しい民衆を極端な行動に走らせる。
人々が信じていた善良さや美しさは、一体どこへいってしまったのだろう。
それともそんなもの、はなからありはしなかったのか……。
哀れな人間たちの行く末をただ傍観していると、そこに突然、鋭い雷鳴が轟く。
上も下も、右も左も、すべてを裁くかのような轟音が鳴り響き、映画は終わりを迎える。
こんなくだらないことのためにお前たちを創った訳ではないと、神はお怒りのようだ。