一人旅

エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPEの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ジョゼ・パジーリャ監督作。

ベルリン映画祭で金熊賞を受賞した『エリート・スクワッド』(2007)の続編で、欲望と暴力が渦巻く骨太なアクションサスペンスの力作です。

ブラジル・リオデジャネイロを舞台に、警察内部の腐敗に直面していく公安局次長:ナシメントの孤独な戦いを描いた作品です。ギャングが跋扈するスラム街での銃撃アクションも描かれますが、物語の主題は、私利私欲のため悪に染まった警察内部や州政府中枢の腐敗です。

味方であるはずの警察に翻弄され、本当の敵が誰なのかも分からないまま最愛の家族にまで危機が及んでいくナシメント中佐の戦いをスリリングに描いたアクションサスペンスで、州政府、警察、民兵組織、ギャングの思惑が複雑に絡み合い正義不在と化したリオデジャネイロの欲望と暴力にまみれた裏社会の実態に生きた心地がしませんし、これらの現実が現在進行形であることを仄めかしたラストシーンが問題の根深さを物語っています。

スラム街の視点で描いたブラジル映画の傑作『シティ・オブ・ゴッド』(2002)とは対比的に、スラムに巣食うギャングの一掃を担う警察内部の汚職と腐敗を真っ向から描き切った続編で、前作に引き続き主演のワグネル・モウラが不正に立ち向かう主人公を力演しています。
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