半兵衛

鮮血の女修道院/愛欲と情念の呪われた祭壇の半兵衛のレビュー・感想・評価

3.0
翌年作られた『キャリー』や『小さな悪の華』を彷彿させる学園ホラーではあるけれど、監督のセンスや土地が違うとこうも変質してしまうのか。

監督がホドロフスキーの知人というだけあって低俗的になりがちなホラーの内容のなかにアーティスティックな風味が感じられて、舞台となるメキシコの土俗文化と相まって独特な雰囲気の作品に。

正直言ってお話は支離滅裂、DVDにある解説文と全く違う内容の話が進行することも見ている人の混乱を招くし冒頭出てきた登場人物の一人アルカルダの出産シーンが本編に特に結び付くことなく単なる雰囲気演出で終わりそんな場面があちこちに登場する。むしろこの映画は先程も書いたメキシコ文化を取り入れたアートな映像やセット、破綻しそうなストーリーをハッタリと見せ場の勢いで補完し押しきる演出で実際途中から話の筋を追うのをやめてシーンのシークエンスだけを鑑賞するようにすると面白さは倍増してきた。

序盤で主人公のジュスティーヌと同級生のアルカルダが百合関係になるのでその行為が厳粛なキリスト教学校に亀裂を巻き起こすのだと勘ぐるが、その話は全く関係なく序盤に現れた変な男女に誘惑されて悪魔の乱交パーティーへと参加したことで二人が悪魔に取り憑かれていくという斜め上の展開に。しなも元々刺激的なことが好きだったアルカルダではなく、普通の少女だったジュスティーヌが取り憑かれるのも話の混乱を深める。

悪魔が取り付いた主人公をめぐって悪魔祓いと称して教師たちがいたぶる中盤もさることながら、ジュスティーヌの復讐のためアルカルダが学校を破壊していき悪魔に憑かれる恐怖で混乱に陥った血しぶきにまみれた学園内と渾然一体となったカオスなラストに唖然。でもそんな勢いだけに開き直ったような『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』のような見せ物演出が潔すぎて嫌いになれない。

主人公の二人が要所で見せる綺麗なヘアヌードも見所、でもアルカルダはともかくジュスティーヌは美人ではあっても美少女には見えないけどね。
半兵衛

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