半兵衛

ジョン・ウィック:コンセクエンスの半兵衛のレビュー・感想・評価

3.0
ジョン・ウィックシリーズは回を重ねるごとに上映時間が長くなるのが気になっていたが、チャプター4はとうとう二時間半の尺に。でもアクションの分量が増えただけでドラマは大したことはないというのが困ったところ。でも四作すべて犬がキーワードとして機能して、今作において主人公以外の人間が犬を暴行され怒りに燃えることで一作目とリンクしていく展開や「これしか安楽の地へたどり着く手段はないよな」という大団円なラストは良かった。

本作を鑑賞していて気になったのはキアヌ・リーヴスのアクションにキレが無くなっていること。確かに殺陣は激しいが、よくよく見ていると受ける相手のリアクションでカバーしていてキアヌ人はちょっとしか動いていない。バスター・キートンにはじまりジャッキー・チェン、キアヌが尊敬する千葉真一といったアクションスターはみな死ぬギリギリのなかで体当たりのアクションをして客の喝采を浴びていたのに、いくら年齢には勝てないとはいえちょっと残念な気持ちに。そのせいかドニー・イェンや真田広之、黒人の殺し屋などアクションが出来るキャラが増えていたが、彼らが結構動けるので冴えないキアヌがより目立ってしまっている。『蒲田行進曲』を更にスケールアップさせた階段落ちはCGとカット割のごまかしを使っているのが見え見え。

肝心のラスボスもこれが裏組織の幹部かよと疑問に思うくらい肝っ玉の小さい奴なので盛り上がらないけれど、そんなラスボスに振り回されてきた人間たちが後半次々とやり返しそれが終盤の痛快な銃撃に繋がる流れは見事。

真田広之が出演しているためか前作に比べて日本の描写や日本語のレベルが上がっている。でも真田の娘役はいかにもアメリカ人が想像する日本人女性(他のアジア人女性とごっちゃになっている)だし、大阪のホテルなどのセットはどこか変。

そしてこんなに決まった終わりかたをしたのに、続編を仄めかすラストカットは蛇足かも。
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