櫻イミト

鮮血の女修道院/愛欲と情念の呪われた祭壇の櫻イミトのレビュー・感想・評価

3.5
ホドロフスキー監督とアラバール監督の盟友であるモクテズマ監督の三作目。1850年の修道院が舞台の少女系オカルトホラー。原題は「Alucarda, la hija de las tinieblas(闇の娘アルカルダ)」。

生後すぐに孤児となったアルカルダは修道院に預けられる。15年後、新しく入ってきたジュスティーヌと仲良くなり、やがて二人の前に現れたせむしのジプシーの手引きで血の儀式を行う。。。

キリスト像が何十体も掲げられた修道院祭壇のセットが抜群に良い。そのビジュアルが本作をカルト作たらしめている。

悪魔憑き修道院ものと少女2人組オカルトものの定番ストーリーを一直線に進んで行く。特にひねりはなく登場人物の内面も描かれないため深みは感じられない。悪魔祓いに向かう尼僧が必需品の十字架ペンダントを忘れてきた後輩にあっさり貸してしまう布石の軽さ。監督は物語にはあまり重きを置いていないように見える。

「カーミラ」要素、悪魔と医師の一人二役による二面性比喩など、様々なオカルト記号は散りばめられている。祭壇前での二人のヒロイン全裸磔もビジュアルのインパクトは強力なので、少女オカルトものが好きな人には刺さる一本だと思う。

※アルカルダ(Alucarda)は反対から読むとア・ドラキュラ。演じたティナ・ロメロは1949年生で撮影当時26歳。

※悪魔と医者を演じたクラウディオ・ブルックは、「砂漠のシモン」(1965)の主演などブニュエル監督常連のメキシコ俳優。

※クライマックスは前年に公開された少女ホラー「キャリー」(1976 デ・パルマ監督)と類似が見られる。
櫻イミト

櫻イミト