くりふ

血の祝祭日のくりふのレビュー・感想・評価

血の祝祭日(1963年製作の映画)
3.5
【はじめてのはらわた】

世界で初めてスクリーンにはらわたを見せたという、ハーシェル・ゴードン・ルイスのゴア映画第一作。

むっちゃ、やっすいでえ!

何でも、監督が泊まったモーテルにたまたま置いてあったスフィンクス像から発想したそうですが、古代エジプト信仰絡みの狂信者が、とある目的のため…観客に血と臓物と裸を見せるため…若い女性を惨殺してまわるおはなし。

とにかく何もかもがチープで、撮影も演出も演技も膝カックンですが…クスクスと面白い!

作者の個性がまんま画面ににじみ出ていて、それがまんま面白いのです。なんだかルイス監督自身から、オモロイ話を直で聞かされているかんじ。この波長が合うかが大問題ですが、私は好きですねえ。メジャースタジオの映画では絶対得られぬ味ですコレは。

やってることは愚劣ですが、おもちゃみたいな感覚なんですね。女体とその臓物で粘土遊びをするような。それもただこねくり回しているだけ。無芸。

そしてミソジニーなんてコトは思いもしなかったのでしょうね。当時、ここまでのエログロは誰もやってなかったから素朴にフロンティア目指しちゃいましたみたいな。その割り切りがいっそ爽快でもあります。

しかし、私がより感動したのはゴアよりおっぱいより下着でした。

本作に登場するそれは、本作少し前公開の『サイコ』でジャネット・リーが着けていたような、プロの衣装さんが考え厳選したものではなく、おそらくは女優さん(及び映画に出たかった知人女性)の自前によるもの。

しかしこれがリアルでいいんですよ!ゴアされるヌードより前、60'sの下着姿にむふふんしました。時にヴィクトリアズ・シークレットよりジャスコの安売りブラの方が、より直撃エロスだったりするものです。

ルイス監督を追ったドキュメンタリー『ゴッドファーザー・オブ・ゴア』で語られていましたが、ヒロインのコニー・メイソンはプレイボーイクラブでスカウトしたそうですね。

「プレイボーイ誌の歴史に残る演技力のなさ」とこき下ろされていて大爆笑でしたが、確かに大して美人でもないし、死体となる女優さんたちの方がよっぽど魅力的でしたねえ。

<2014.6.20記>
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