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ブルー 初めての空へのLCのレビュー・感想・評価

ブルー 初めての空へ(2011年製作の映画)
3.8
面白かった!

印象的な音楽で始まる。
1度聞いたら耳から離れなくなる。Rioは本作も次作もこの「音楽」が大きな魅力のひとつだろう。

主な舞台はブラジルということで、やはりリオのカーニバルは外せない。
このカーニバル、単なるお祭りではなくコンテストであることは、あまり日本では知られていないように感じる。
1週間以上をかけて1位が決まる。賞金は何億円にもなるようだ。
ダンサー個人も注目されるが、チーム戦でもあるため、注目のチームや推しチームなんかがあると見る目に俄然力が入る。
1年に1度の大舞台、準備に億単位の金額を費やし、チャンスは1度きり、80分。
作中でキャラクターたちがカーニバルだ!とウキウキする姿がチラホラ描かれるが、熱狂の程は実際の数字からも推し量ることができよう。

主人公の親友がフロートのてっぺんに出てしまうアクシデントが起こるが、本来あのポジションは「チームの女王」が立つ場所だ。彼女でなくても「おろして…!」となるだろう、笑いながらもひやひやしてしまった。

そしてやはり、親友を救うことに必死で、カーニバルのフロートを運転し飛行機と接触上等のガッツを見せるところは痺れる他ない。
ああ(1年かけたお金も準備も優勝も…)という脱力が、物語の「ああ(止められなかった…)」と上手いこと重なるのは面白い。

個人的には鳥たちのパーティ会場がとても好き。人でごった返してて、大音量の音楽とそれにノッてる波。主人公が「衛生的に…」と言うから笑ってしまった。「意味不明」と返されるけど、わかるよ、衛生的には最悪だよな!でも楽しいところなんだよな!ほら、主人公も、身体の中に眠るリズムが目を覚ましてきただろう。

理屈で考えて、理解してから行動に移したい主人公は、なかなか上手くいかずに「ズレてる」等散々な評価をくらいまくるが、ちゃんと彼の理屈が役立つ場面もある。
理屈先行の彼が、理屈ではない何かを力に風を掴む場面は、確かなハッピーに溢れる。
真夏に見たくなる作品であるものの、舞台のブラジルではそれこそ今が真夏(故にカーニバルも今くらいの時期に催される)ということで、雪降る夜に勢いで見た。今年はもうあと数日後らしい。
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