くりふ

スピーシー・オブ・コブラのくりふのレビュー・感想・評価

スピーシー・オブ・コブラ(2010年製作の映画)
2.5
【インドでリンチがヘビおんな】

才能については親の蛍の光り程度のジェニファー・リンチ監督が、蛇女映画を撮ったとは随分昔に知り気になっていましたが、とっくにDVDリリースされていたんですね。しかもコレ、ボリウッド映画じゃないですか!

どんなトンデモ映画になっているか、さっそくみてみました…が。…だめだこりゃ。

トンデモに炸裂するならまだしも、普通に冴えないトホホ作でした。これ間違いなく、インドでもアメリカでもコケたでしょうね。ボリウッド特有の鮮やかシズルは皆無だし、逆に父譲りの変態映画にも程遠い。

インドの伝説では大昔、蛇の女神ナギンが持つ不老不死の石を狙い、恋蛇であるオスを誘拐し、石を脅し取ろうとした不埒者がいたというが…。

…という前フリの後、時は移り現代の不埒者が登場。インド在住?の、ある宿命を抱え暴走するメリケンおやじ。父リンチ映画に出てきそうなマジキチキャラがこの伝説に賭け、インド人パシリを雇い、森にナギン彼氏を捕獲に行きます。

あっという間にカップル蛇を見つけますが(何故メスがナギンと確定できたかは謎)、無防備になるから交尾中がいい…てことで、嫌がるインド人に無理やり、お始めになられたカップルから彼氏を引っぺがさせて、お持ち帰りするのでした。…

…なんで、ナギンをいっしょにお持ち帰らないの?一瞬の放心後、大爆笑。IMDBのカテゴリ分けにComedyが入っている謎がさっそく明らかに。

いや、もし脅す過程が必要なら、その場でやればいいじゃん。オジサン先ないんだしさ。

でナギンもナギンで…逃げちゃうんですよ!人間を丸呑みするほど巨大化できるんだから闘えよ!一戦でうっふんと疲れてるのもわかるけど、出るだろ火事場の馬鹿力。愛しの彼が大ピンチなんだからさ!

ここでズッコケて以降、ひやかしモードに切り替わってしまったのでした。まあこうしないと、その後の物語が成り立たぬわけですが。

でもヒントを何も残さないから、ナギンはどーすりゃいいかわからずフラフラして、全裸で街灯に登ってホロリ泣いてみたり、蛇使いの笛につい釣られてフラフラ踊ってみたり…だもんでオジサンは更にキレるという、そんなお話なのでした(笑)。

ナギン騒動に巻き込まれる刑事役は、いまやハリウッドでもおなじみイルファン・カーン。巧いです。せっかくの彼をめっさ無駄遣いしてます。彼がいるから一応、ドラマとしての体裁は保っていると思いました。

彼の妻役で『スタンリーのお弁当箱』の隠れセクシー先生、ディヴィヤ・ダッタさんも好助演していますね。ここでも美人です。

ナギン役はマリカ・シェラワットお姉さん。美人です。でも、彼を探し苦悩する蛇の女神って、実は演技力必須だってことがよくわかりますね。彼女じゃ動く人形みたい。ボリウッド第一線の女優さんでやる人いなかったんでしょうが…。

まあヌードは明らかにボディダブルですが、キシャーとか舌出す蛇女ですからねえ。ちなみに特殊メイクは見事でも、CGはトホホでした。

その他いろいろ、得るもの(笑)はありましたが、まあこのへんで。

おそらく、インドと仲良くしたいハリウッドが、その流れの一環として作ったのでしょうが、監督は人選ミスでしょう。彼女が持つ奇妙なセンスは、どことなくラジニ映画などの素っ頓狂と通じるものがあるから、プロデューサーが巧くコントロールできれば化けるのかもしれないなあ…とは思いましたが。

<2014.9.1記>
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