爆裂BOX

スピーシー・オブ・コブラの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

スピーシー・オブ・コブラ(2010年製作の映画)
3.3
脳腫瘍の宣告を受けたステイツは、ナギンと呼ばれる古代からインドに伝わる蛇神の体内にあるという不老不死の魔石を手に入れる為、インドの山奥でつがいのオスのコブラを捕獲するが…というストーリー。
「チェインド」等のジェニファー・リンチがインドに渡って手掛けたインドとアメリカ合作のモンスターホラーです。
恋人を取り戻す為、美しい女性の姿に変身したナギンは町に降りてくる。実験室で囚われ、電極を取り付けられたオスの発するパルスに本能で導かれながら殺戮と捕食を繰り広げステイツを追うナギン。一方、連続する殺人事件を捜査するグブタ警部は巨大な蛇を見たという目撃証言を得ながらも、超常現象を信じないために捜査を進展させられない。一方でステイツは事件の報道を見てナギンの到来が近いことを確信して無力化させる秘策の準備を着々と進めていた、という内容です。
これは何ともヘンテコな作品でしたね。タイトルやジャケットは「スピーシーズ」の便乗作思わせますけど、普通のモンスターホラーとも違う、正しく怪作と呼ぶにふさわしい作品でした。
恋人を取り戻す為、山から町に降りてきた蛇女ナギンと彼女の恋人のオスを捕えたマッドサイエンティストとナギンが起こす殺人を捜査する刑事の三人を中心にして物語は進んでいきますが、ナギンが町で人を襲う姿をちょこちょこ挟みながら、実験実で待ち構えるマッドサイエンティストは中々ナギンが来ず、脳腫瘍から来る頭痛で大荒れして使用人や用心棒撃ち殺したりして暴れ、事件を捜査する刑事グブタは終盤になるまでナギンの存在信じないので捜査は進まないし、むしろ子供が出来ない妻やボケが始まった義母といった家庭のドラマの方が多めになっています。こんな風なので話的には中々進まないんですよね。
ナギンは人を襲いますが、襲う対象は自分を襲うとしたチンピラやレイプ犯、DV野郎とクズ男ばかりなので女性からは感謝されたりして怖さはないですね。最初のチンピラを巨大コブラに変身して牙でグサグサ刺したり、丸呑みにして殺す所は良かったですが、以降は直接的な描写が無いのは残念だったな。蛇使いの笛の音に合わせて踊り狂ったり、終盤で恋人のコブラと再会して、その場で人間状態で蛇とラブシーン演じたりと何処か可愛さもあります。蛇の身体に人間の手足が生え、脱皮して鱗人間みたいな姿から美しい女性へ変身する所や逆に女性の姿から髪が抜け落ちて牙が生え、ウロコが生えて蛇に変身していく姿、上半身だけ人間で下半身が巨大な蛇の姿等多彩な姿見せてくれますし、ロバート・カーツマンが特殊効果手掛けているだけあって変身シーンのクオリティは非常に高いです。特に頭と手足だけ人間状態で丸呑みした人間で膨れた蛇腹撫でながら眠るシーンはインパクトありました。逆に巨大コブラになった時のCGは安っぽい所あったかな。
ナギンを演じたマリカ・シェラワットのエキゾチックな美貌も素晴らしいですし、胸は髪で隠れたりしてるけど、最初泥だらけヌード出したり全裸で街灯に上ったりと脱ぎっぷりも良いです。
パステルカラーの色使いも異国情緒感じさせますし、ちゃんと集団でダンスするシーンもあります(笑)中盤で逃げる蛇使いと追うナギンと同じく蛇使い追う刑事二人のチェイスを長々と映すシーンも妙に印象に残りました。
一応主人公にあたる刑事グブタをイルファン・カーンが演じています。ボケて彼の事を娘と思ってたり、自分は長生きしなくていいから娘に子供を授けて下さいとナギンの像に祈る義母も不思議な存在でしたね。死ぬ前にいきなり事件の真相グブタに話して聞かせるのも不思議。
終盤でステイツとナギン・グブタの戦いが繰り広げられますが、むしろステイツVSグブタという感じになってましたな。決着はナギンがつけるけど。
普通のモンスターホラー期待して見ると痛い目あうと思いますが、かなり異色でキワモノなモンスター物みたい人にはオススメできるかな?という作品です。