キャッチ30

地下室のメロディーのキャッチ30のレビュー・感想・評価

地下室のメロディー(1963年製作の映画)
4.1
洒落ていると同時にほろ苦さも感じた。結末を観て、腹を立てた観客もいると思うが、私は評価したい。

舞台は映画祭の開催地であるカンヌ。老練の盗人であるシャルルはチンピラのフランシスと組み、カジノの売上金10億フランを強奪をしようとする。
フランシスはシャルルの導きで革ジャンのチンピラからタキシードの紳士へと変身していく。その出で立ちは伯爵夫人から「紳士とワルの区別もつかなくなった」と言わしめるほどだ。

フランスの名優ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの初共演作という触れ込みだ。一見、ドロンがメインに見えるかもしれないが、二人の役割は明確だ。ギャバンは長年の経験から培った頭脳でドロンをサポートする。その佇まいには何か異様さを感じる。一方のドロンは若さ溢れる美貌と屈強な肉体を駆使して犯行を行う。

華麗なる手口で犯行を行い、大金を手に入れてハッピーエンドで終わるハリウッド映画とは違い、本作は後味の悪さが残る。しかし、犯行に至るまでの徹底したリアリズムとミシェル・マーニュのテーマ曲はフランス映画だからこそ、成せる技だと思う。だからこそ、一見の価値がある。