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下女のkurageのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
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何の気なしに観たら、登場人物の不穏な表情に引き込まれて最後まで。
主人公の音楽教師の男をめぐる女たちは、ちょっとずつ何かが狂っている。楳図かずおの漫画的なシュールなシーンで描かれる女たちの欲望が、露わ。
いろんな映画の元ネタになっていそうなシーンが多く、『パラサイト』にインスピレーションを与えたのもうなづける(オープニングタイトルはポン・ジュノのお父さんが書いたそうで)。また、成瀬巳喜男など日本映画に影響を受けていそう。

音楽教師の家は自宅にピアノがあり、下女を雇うくらいだから割と裕福なんだろう。その割にはお母さんがミシンで内職をしたりもしていて何かバランスが可笑しい。日本の高度成長期時代のインテリアのような一軒家は、韓国ドラマで出てくるような下町の家でなく、団地でもない。小上がりもなく、玄関を開けたら左手に階段がある。この階段がメインステージだ。

古いフィルムを復元してくれた、マーティン・スコセッシ財団の仕事に感謝。
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