エイリー

下女のエイリーのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
3.7
観たいなーと思っていたら特集上映があったので行ってきました。
貴重な上映だけあって全席埋まってました。

難しい話なのかと思っていたら、全然難しくなくエンタメ要素満載。
あやとりから始まる奇妙な話。
ミシンの規則正しいリズムが響く家庭が、次第にピアノの不協和音が響くようになっていく。
音楽がすごくよくて混乱していく家の様子が表されていた。
ヒッチコックを思い出す。

この時代って性描写は描けないはずだから、直接的な描写はないけど、そこがうまい。
足を中心に撮っていて、足だけなのがすごく官能的。
主人の足に生足を絡め、ずる賢そうに舌をペロッと出す下女…

一歩引いてその当時の社会を考えると家族、男女の関係が見えてくる。
妻はなんとしても家庭を死守しなければならないと躍起になる。
それは儒教社会では家族が重要視されるからだ。
また、儒教では男性は尊敬される存在であり、それに従う貞節な女性が良いとされる。
男性主導の社会で女性たちはなんとか男性と結ばれなければ幸せはないと思い、それぞれの行動をしたのだろう。

階段や窓など普通の家の風景が恐怖に変わっていくさまが恐ろしかった。
日常に様々な思惑が渦巻いていることをよく表している映画だった。
ラストは絶対観た人にしかわからないおかしさ!
キム・ギヨン作品また観てみたいなー。
エイリー

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