ふかい

不安は魂を食いつくす/不安と魂のふかいのレビュー・感想・評価

4.5
ブレッソンのような棒読み台詞が、あまりドイツ語を話せないモロッコ系移民という設定とうまく呼応している。序盤と終盤の展開の反復や、高級料理屋に横並びで座っている2人を移したショットなど、上品さが常に漂う。
誰かと手を結ぶためには常に共通敵が必要、という"あるある"をきめ細やかに描いていくストーリーと、一方的に見る/見られる視線の交錯を繰り返し描いていく丁寧な構造はかなり見やすい。
まるで「ラルジャン」のラストショットのように機械的にこちらを見てくる野次馬に対してブチ切れた後、ヒロインが旦那の職場に乗り込んで向けられる好奇な目、一瞬旦那がそれに合わせて笑ってしまい、その後すぐ俯く表情が加害側に回ってしまったことへの後悔を端的に表しており、実に素晴らしい。
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