desperadoi

シェーンのdesperadoiのレビュー・感想・評価

シェーン(1953年製作の映画)
4.5
断片的な情報から流れ者が悪を討ち、見返りも求めずまた去って行く物語だと思っていた。大筋は外れていないにせよ、その想像は良い意味で裏切られた。これは単純な勧善懲悪ではなく、暴力について正面から向き合った作品だ。

例えば西部劇では殴り合いのシーンがよく見られるが、この作品のそれは2〜3発で相手が伸びて終わったりはしない。ルールなどなく血を流しながら延々と続く。そして銃声はと言えば耳をつんざくような轟音で、撃たれた人間は泥に叩きつけられて死ぬ。格好良さなどこれっぽっちも無い。更に驚いたのは男性キャラクターの多くが「男らしさ」に囚われているように描かれていることだ。それは大人に限らず、子供もそうした意識を持って育ちつつあるとはっきり分かる。

現代の作品でも好んで用いられるこれらのテーマを53年製作の西部劇がここまで描いているとは本当に意外だった。『伝説の映画監督 ハリウッドと第二次世界大戦』では、ジョージ・スティーヴンスについて戦前と戦後で作風が違うと述べられていたが、やはり戦争の影響は相当大きいのだろう。他の作品も観なきゃ。
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