菩薩

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)の菩薩のレビュー・感想・評価

4.2
なんだかんだと観るのは3回目で今更何を学ぶでも無いが、よくよく考えると森恒夫の殴って気絶して復活したら革命戦士!死んだら負け!って理論が、HUNTER×HUNTERの蟻編の奴等の念能力獲得手段と同じである事に気付いたけど別にどうでもいい。安田講堂陥落あたりで静かにこの波が引いていけばよかったものの、行き着く先は幼児性と加虐性の暴走と閉鎖性獲得によるカルト化、なんら具体性を持たない「総括」と「自己批判」は結局揚げ足取りと嫉妬心丸出しの言い掛かりによる内ゲバに終始、前進するどころかひたすら後退を続けた結果自らを破滅に追いやる事となる。この先にオウムがあるとし類似性を見るなら、そこから更に25年程経った現在の一部右側の支離滅裂な自己欺瞞理論の展開や陰謀論者達のカルト化に若干の懸念を抱かないでもない、彼等がこのよう様に「行動」に出る事は無いだろうが。若松孝二自身にとっての「総括」と「自己批判」はこの作品をもって完了したのだろうし、私財を投げ打ち、自分の別荘をぶち壊してまでこの作品を作り上げた気概は賞賛に値する。この時代の挫折と敗残兵の空気感が完全に一層される迄は世の中なんも変わらなそう。ジム・オルークのギターサウンドは序盤がリース・チャタムっぽいし、後半はノエル・アクショテとかローレン・コナーズっぽい、要するに最高。
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