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黒部の太陽のevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

黒部の太陽(1968年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【クロヨン】

関西電力が手がけた黒部川第四発電所建設の中でも、主に関電トンネル貫通までの困難を描いた作品。

その担当は、第三工区の熊谷組と下請けの岩岡班。トンネル反対側の第一工区からは間組と上條班が進むが、映画の舞台はほとんどが第三工区。
破砕帯にぶつかってからは湧水に阻まれ、もどかしいほど掘削が進まない。

当時や戦中における作業現場の雰囲気が再現されておりました。今とはどれほど違うのかは分かりませんが、建設業界あるあるなんだろうなぁと大変興味深かったです。

発作マグロ?💉🐟
いやいや…、専門的なことも、随時挟まれる解説が丁寧なので分かりやすいです。

少し前までは、大国相手の無謀な戦争。
そして今、日本列島の大自然を敵に回した掘削工事に挑む。

岩岡源三親方が、戦中のやり方を押し通すパワハラの象徴…というか、邪魔者にすら見えて来るのですが、実際に根性論の人物が取り仕切る現場もあったのでしょうかね。時代は変わったんだ!今と昔は違うんだ!というやり取りだけは、昔も変わらない。労務者達は、軍曹の指揮のもと、切羽という前線へ代わる代わる送られる兵士のようでした。

俳優陣は当時のオールスターでしょうか。役者の顔がアップで映るシーンが目立ちました。北川が風呂桶から上がって延々と熱弁を振るう間、藤村さんもう茹で上がって聞いてないんじゃないかしら♨️なんて思いましたけど、そんな所は映らず。北川が説得出来なかった熊谷組を、太田垣社長が手を突いて懇願。決して下に丸投げすることなく、トップとしてやれることはやるという、社長の高い洞察力と人徳を一層表す話に繋がりました。

金と知恵と時間があれば、人間はどんなことでも成し得るのだろうか。
いや、成し得て良いのだろうか。
無理矢理山を破壊し人工物を建て、病を治して寿命を伸ばし、自然の摂理に逆らいながら、生きたいように生きていて良いのだろうか。
トンネルは貫通しても、病気は克服できないという所が人間の限界のように感じましたが、北川の涙のスピーチはとても切なかったです…。

貫通に喜ぶシーンでは、多くの作業員達が黄色いヘルメットを被っているため、遠目にははしゃぐミニオンズのようでした。

出演者が五十音順なのが良いですね。
映画同様にダム建設も、関係者全員の協力なくしては成功しなかったということが強調されている気がしました。

ダムによって生かされる人々がいる一方で、
ダムによって死んだ人々がいる。

電気が無ければ映画を観ることも出来なかった。生活のあらゆることが、どこかの誰かが流した汗に支えられていることを忘れてはならないと改めて思いました。
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