誤宗黒鳥

ゴーン・ベイビー・ゴーンの誤宗黒鳥のレビュー・感想・評価

ゴーン・ベイビー・ゴーン(2007年製作の映画)
3.2
「マンチェスターバイザシー」に続いて、またケイシー・アフレック目当てで鑑賞。

何と言うか、自分の行動の結果を悲し気に背負い続ける人物がピッタリなケイシーらしさがいかんなく発揮されていたと思った。そんな彼が社会派な作品で釈然としない終わり方をさせる作品の主役になるのは兄貴のベンが製作でも適当な選択だったのだろうと納得できる。「タフさと純粋さをあわせ持っている」と製作陣に言われてるように本作はいつも以上に強気な姿が目立つが、やはりアクションスターのような威圧感や強さは感じられず、等身大の人間の姿があった。

物語の方は大きく3つの事件が2時間に詰め込まれていて単純に密度が高く、消えた少女の行方とその理由がだんだんと分かっていき、最後に大きな選択を迫られる筋書きで飽きさせなかった。エキストラや脇役にはアフレック兄弟の地元であるボストンの住人達を多数起用しているのでいい意味で小汚い、役者ではない人々の姿がより現地の雰囲気を作り出していた(演技もうまい)。ただ、生活感や地理感覚があまり重視されていない気はしたのでそこは残念。相棒の人も、正直言って飛び込むところ以外に見せ場がなかった感じなのでいなくても「愛しき者は全て去り行く」という原題を演出する以外にあまり物語に支障が感じられなかったのも残念。もう少し活躍が見たかった。

結局周囲の大人の都合で振り回されてしまう子供の心は誰も知らずなのだろうという身勝手さばかりが最後には残る…
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