時に、冷酷なまでに台詞を排除してきた、監督北野武の大傑作。それに対しての言葉にどんな意味があるのか。傑作に圧倒されるがままに、言語ではなく、感覚で捉えたままでも良いではないかのか。しかし、それでも、はやり語りたい。
破門される下りはソナチネ、水野が殺されるシーンはあの夏一番静かな海。自作からの引用で物語をまとめようとしつつと、片岡に両手を差し出し、自首する大友。ここのビートたけしには、かつてのタナトスに支配されていた過去を振り返りながらも、生への欲求が溢れ出た今の武として、物語を描こうとする明確な意志が見えていて感動した。
色々改めて過去作見返してみると、別の発見があるかもしれない。
情緒をコメディに置換出来るのが北野武の一番の作家性だと思う。歯医者ドリル食らった後の、よく分からないマスクをつけてる村瀬には笑うでしょ。あの武の狂気じみた拷問的制裁の後に、これだからね編集の天才にしか思えない。他にも、もう収拾つかない状態になってるのに、堂々カジノにやってきて、当然裏に連れてかれ、舌を出した状態で顎を殴られたうえで銃殺される池元。指ラーメンを客に出すまでの間素晴しい。ほんとに爆笑した。
椎名桔平とカッコよさ、小日向文世の変わらなさ、イケイケの加瀬亮、等々いや最高でしたね。また観たら追記しよ。