がんびーの

アングスト/不安のがんびーののレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
3.7
ミヒャエル・ハネケ、ギャスパー・ノエなどに多大なる影響を与えた伝説のサイコスリラー映画。

83年に製作された本作は、実在の殺人鬼ベルナー・クニーセクによる事件を基にした作品。刑務所出所後の殺人鬼(=狂人)が感じる不安やプレッシャーによる異様な行動と心理状態を、凶暴かつ冷酷非情なタッチと斬新なカメラワークを用いて表現。狂人自身のモノローグでつづる構造、全編に徹底された陰鬱なトーンは、他に類を見ない芸術性を発揮している。

事前学習として予告を見たんですけど、それがまた素晴らしく怖かったのでほんとに最後まで見れるのか少々不安でした。タイトル通りほんとに不安になる映画です。観る前も、観てる時も、観終わった後も…。

伝説的な一本ということでかなり意気込んでみたんですが、思いの外グロいシーンは少なめ。血がドバッと吹き出てうぎゃーって感じよりかは、サイコパス主人公が淡々と一家殺害を遂行するのを横で眺めてる感じ。だからこそヤバイ。映像がかなり特徴的で、手持ちカメラでずっと追っている様。長回しがかなり多いので、その分現場の緊張感だったり主人公の感情だったりが伝わってくる。主人公の感情は伝わってくるだけで微塵も理解できないんだけどね…笑。あとどのシーンも主人公の精神状況の解説的なのがナレーションで入ってる。だからより一層、彼の心理に飲み込まれそうで怖い。

サディストってのが精神疾患に入らないのが不思議な感じ。まあそりゃそうだよな〜とも思うけど、本作品ほどヤバいやつだったら病気扱いにしてもいんじゃないかなぁとも思う。線引きが難しいんだろうな。

我孫子武丸の「殺戮に至る病」を思い出しました。
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