このレビューはネタバレを含みます
自らが愛の貴公子ドンファンだと信じ込む妄想癖の青年と、彼の治療を手掛ける事になった引退間近の精神科医を描いたラブロマンス映画。
年老い、仕事もリタイア間近で燃え尽き症候群になってしまった精神科医が、妄想癖のロマンチストの青年の診察をする内にどんどん彼の影響を受け、自分もロマンチストになっていくというストーリーで、悲しくてままならない現実を知りつつも、荒唐無稽でもロマンティックな夢の中で生きると決めれば幸せになれるという話。
現在進行形で進むラブロマンスではなく、ドンファンの語りで淡々と物語が進んで行くため、なんだか本を読んでいるような感覚になる映画だった。
面白い映画かと言われると難しいところではあるが、ラストシーンでのミックラーの語りーー
「私の最後の患者である
愛の貴公子ドンファン・デマルコは
“ロマンス病”だった
残念なことに治療法ない
しかも困ったことに
伝染性が高いのだ…」
というセリフは、この物語の締めにピッタリの言葉で、退屈しがちだったこの映画もこのシーンだけは嫌いじゃなかった。
妄想だったはずのドンファンの恋人が何故砂浜で彼を待っていたのかはよく分からなかったが、考えてもこれ以上の感想は得られそうにないので考えないことにする。
余談だが、物語が終わるまで、精神科医のミックラーを演じていたのがゴッドファーザーのマーロン・ブランドだと全く気が付かなかった。