くりふ

怪奇!呪いの生体実験のくりふのレビュー・感想・評価

怪奇!呪いの生体実験(1967年製作の映画)
3.5
【幼少時のトラウマ映画、今ならウマウマ映画】

少し前にDVD発売され、レンタルしないかなーと待っていたがねーなと思い、安価だし買いました。

幼少時、確か日曜の昼下がりにTV放映され、一家でみていたが恐ろしくなり、何となく父親の背後に隠れるように移動しつつ覗き見した記憶があります。

1967年英国作のくびホラー。作中には総統直々に、とは出なかった気がしますが、ヒットラーの勅令で終戦時、ナチスの生きのいいメンバーを冷凍保存させ、後の世で復活させナチスの再興狙うぜハイル!というお話し。

が、そもそもどうせ自殺するならヒットラー本人凍ればいいのにと思った。で、舞台は20年後ですが、まあ歳は取るものの、若いメンバーなら老化するまでは行かないから、わざわざ凍らせんでもいいのに、と思った。…それじゃ身も蓋もないか。

で、解凍すると、脳だけまともに再起動せず、ナチスの皆さんみんなバカになってしまうという。怖がらせたいのか笑わせたいのかわかりませんが、今回はもちろん笑いました。ナチスをバカにすることでバカにしたいのが作者の本音なのかもしれない。

で、こりゃ生きた脳の解析が急務だ実験だ!と、身近なサンプル使っておっぱじめてしまうのが本作の本筋。

で、たまたまの事情で、目覚めるとげ、な姿と化しているのがキャスリーン・ブレック演じる綺麗なお姉さん。この方、TV畑の女優さんらしいですが、本作のビジュアルインパクトは物凄いですね。本人、トラウマになったのでは?小箱を開けると…とのお膳立てが巧くも強烈。

で、アンナ・パーク演じる友人が、消えた彼女を探す展開となりますが、アンナさんはジャンル映画にそこそこ出ていたようですね。時々サッチャー顔になりますが美人で、キャスリーンさんがアレしちゃう分、サービスショットも担当しています。

この要が美女二人っていいです。クラシック・ホラーの基本であります。

今回み返して、子供心に怖かったわけを色々と思い出しました。

全体まず、映像の空気そのものが禍々しいんですね。脚本・監督のハーバート・J・レダーは、脳に触手だけ生えただけのモンスターが活躍する『顔のない悪魔』なども撮っていますが、キモイ画をつくるのが巧い。『イレイザーヘッド』の大先輩だと思います。

で、登場人物がキチガ…思考の不自由な人ばかり。マトモと思った人物がひょい、とモラルのボーダー超えてしまう。…ナチスじゃなくとも。誰を信じていいかわからなくなる。

これじゃ、美女のアレ化が即、実行されてしまうわけだ。この即物感がオソロシイ。今では本作、お笑い映画として楽しむのが王道なのでしょうが、作者に合わせてシンクロすれば、そうとうにヤバイ顔を晒してきますね。

アレさん最後の台詞が、字幕ではTV放映当時とは違っていました。当時の方がより凄惨でしたが、あの最後の息づかいそのものが、何度みても哀しく、残酷です。

<2016.8.9記>
くりふ

くりふ