三樹夫

怒霊界エニグマの三樹夫のレビュー・感想・評価

怒霊界エニグマ(1988年製作の映画)
3.2
イタリアの『魔太郎がくる!!』みたいなやつ。ただし劇中の舞台はボストンで、なのに言語はイタリア語というワケの分からなさ。いじめが原因で車に轢かれて昏睡状態になったいじめられっ子が別の人間に乗り移り、「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」とうらみ念法を駆使していじめっ子を死に追いやる。
イタリアのうらみ念法は、大量のカタツムリが体を這って窒息死や首なし部屋の無限ループという、グロに特化した幻術をお見舞いして精神的に追い詰め殺すという代物で、この映画の売りともなっている。ただし映画自体は後半から思いっきり失速する。一番の見せ所は大量のカタツムリが美女に群がるシーンだが、何故か半裸でここでエロぶっ込んでくるのかという、そういう類のフェチAVみたいになってた。

やたらポスターの自己主張が強く、ベッドにいた大量のカタツムリが消えている!?あれは幻覚だったのか、いやそうではないでカタツムリが一匹這っているのが『ロッキー』のポスターのため観ていて一番最初に出てくる感情はなんやこれだし、『トップガン』ポスターをバックに怨霊がフワ~は、👍ポーズのトム・クルーズが強すぎてそれどころじゃないしで、恐怖演出を80年代ハリウッドポスターが潰してくるという珍妙さが生じており、なんでわざわざそのシーンにそのポスターを配置したんやと、まともじゃない装飾ワークが広がっている。
昏睡状態でベッドに横たわるいじめられっ子がナメック星人ぐらい緑色なのも、やつれているというメイクなんだけども、この映画は細かい所が所々何かおかしい。
フィル・コリンズもどきみたいなバラードポップスで始まり、さも当然みたいに2番3番と突入し、ほぼ全部流れているだろぐらいにずっと曲がかかり続ける。最後も全く同じやつを垂れ流す上に、ユーネク版がたまたまそうなっているだけなのかもしれんが、途中でクレジットが尽きるので何もない黒い画面のまま曲だけは最後まで流れているという狂気で映画が終わる。
怒霊界という、この邦題つけた人の才能を称えつつも正気を疑うワードは、もし私がラジオにハガキ送る時にはラジオネームとして使用してみたい。
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