Melko

エミルの空のMelkoのレビュー・感想・評価

エミルの空(1994年製作の映画)
3.8
「まだ家出を続けるかい?」
「……疲れちゃった」

アイスランド産・頑張る少年ほっこりムービー。ずっと見たかった作品を、やっと。

ドラマティック一辺倒/シリアス一直線 ではない、ほっこりゆったり子どもの成長ムービーというのが、なんとも北欧らしい。
少しだけおもしろおかしく、子どもの目線に立ってゆったり紡がれる。

共働きで、常に家計が苦しいエミルの家。
友達の影響で犬を飼いたいエミル、でも集合住宅の決まりと家計の苦しさで飼えない。じゃあ、自分が働いて買うよ!と、そこからスポ根宜しく、わずか8歳が、新聞売りと家具作り補助という、掛け持ちアルバイター生活。学校は…?という野暮なことは言っちゃいけない笑
新聞売りのライバル少年たちからのイジワルにもめげず、仲間もできて、必死に新聞を売るエミル。
めげそうな時に見上げる空。
この「空」が、辛い時に彼を励まし、且つママとパパとの幸せだった時を思い返す役割も果たす。
家を建てるためクタクタになるまで働く両親、そのせいでギスギスする家の中。
「大きな家より小さな家の方が、家族でいられる時間がいっぱいできるじゃない」というエミル。そうなんだよなー、そうなんだけど…。親は、子どもにより良い暮らしをさせてあげたいものなのよね。

引き取りの期日までになんとかお金貯めたのに、パパからまさかのNO。喚きちらし拒否され、絶望感と共にエミルは家を飛び出し、犬を引き取り家出…
おじいちゃんのいる田舎で暮らすんだ、と、犬をカゴに入れ、細く小さな自転車を走らせる。子どもに出来ること、行けるところには限界がある。どうなるか。まぁ、そうなるよね、な展開。
最悪なことを色々想像したであろう両親、エミルのいく先々で出会う人、特にあのやたら陽気な酔っ払いのオッサンが優しくて助かった。子どもの無謀な決意を、カラッと受け止め笑える余裕のある大人でいたい。

全体的にホッコリ、ウルっとまではせずとも唯一グッときたのは、
貯めたお金を数えながら疲れて寝落ちたエミルに、ママが布団をかけてあげながら、自分が持ってたお金の一部をその貯金箱にスッと入れてあげたところ。
そう、そうゆうことをするのが親なんです。
Melko

Melko