Melko

スターダストのMelkoのレビュー・感想・評価

スターダスト(2007年製作の映画)
4.0
「海賊に殺される、心臓を抉られる、ヴィクトリアに会う…どれも気が重いわ…」

”Why didn't you do that earlier?”(なんでもっと早くにやらないんだよ!)
”I couldn't have done that without you. No star can shine with a broken heart. ”(ムリよ。失恋した”星”は輝けないの)

んー!なんと!これは!良かった!
豪華な面々が出てるけどB級感がプンプン漂うジャケットから、正直まっったく期待せずに見たのだけど(失礼)、これは良かった!

いや、お話としては超優秀とは言いがたいところが色々ある。
すごく良い真心と愛のお話なのに、たまに突然挟まるグロシーンや、死んだ王子達が幽霊になって茶々を入れるブラックジョークシーンがオシャレではなく超B級感があり、そういった要素が素敵なお話に水を注してる感がどうしても否めない。
加えて、もっとうまく料理すればかなり印象と記憶に残る良いキャラになりそうだったデニーロ演じるキャプテン シェイクスピアの小物感が残念すぎる。さすがにデニーロなだけあって、短い登場シーンでもしっかり爪痕は残してたけど、イカつい見た目に朗らかでキャプテン想いの手下達が良いキャラしてたから、彼らのシーンをもっと見たかったなー。キャプテンの側近が千鳥の大吾に雰囲気がそっくりだったのが何故かすごい印象に残った。笑
その代わりにこれでもかとしつこく登場する最強魔女ミシェル・ファイファー、出てる場面がほとんど醜い魔女の姿、演じるの楽しかったんだろうなぁ。ただ出過ぎな感も(妹達の影が薄すぎて)
トリスタンのお母さんとかもっとちゃんと活躍させて欲しかったー!もったいない!
あと、王子が占い師を詰問するシーンは必要だったのか…王族が残酷なことは序盤でわかったからちょっとしつこかったかも。

で、それを補うぐらいに良かった点としては、
・ナヨナヨ主人公トリスタンの華麗なる大変身
 意中の女性から良いように使われてもめげないハートの強さと能天気さ、馬鹿の一つ覚えみたいにヴィクトリア…と言い続けるトリスタン、中盤までは本当に芋っぽい田舎の青年。一言で言うと全くイケてないし、頼りない。それが、匠a.k.aキャプテンシェイクスピアの手にかかると、、なんということでしょう!爆イケ(な雰囲気の)高貴な青年に変身!なんのためにカツラ被せてるんだろう、と思ったけど、そうゆうことか!
こういったファンタジーモノでは女子が華麗に変身するのは何度も見たけど、男子が華麗に変身するのは珍しいし、何より変身前後の高低差がちゃんとあるので納得感あった!すっかりイケメンになったトリスタンを見て、邪険にしていたヴィクトリアが逆に惚れてしまうのもわかる。

・無理のないラブストーリー
 そもそもは、ヴィクトリアのためにイヴェイン(星)と知り合うことになったトリスタン。「僕が愛する女性に”君”を贈ることになったので、一緒に来てもらう」なんて聞いたら、「は???」てなるよね、普通。笑
だから2人は息が合わないし、文句を言い合ってばかりだし、「会えば喧嘩する同級生」みたい。それが、様々なピンチを潜り抜け、助け合うことで、少しずつ近づいていく距離。それが決して大袈裟だったり甘ったるい感じではないのが良かった。特に、先に心が近づいたイヴェイン、トリスタンと一緒にいることで、嬉しくて文字通り「輝く」様子が可愛い。それでも、本来の目的を忘れず、届ける期日のヴィクトリアの誕生日をずっと覚えている律儀なイヴェイン…そしてそれを忘れていたトリスタン、、もうお互い早く気づいて気持ちを打ち明けてー!!
このもどかしさ、、忘れていた10代の頃の気持ちが戻ったようだった。笑

あまり躊躇いなく人がどんどん死んだり、トリスタンとイヴェインが一度結ばれたことが示唆しれるシーンがあったり、お子様向けではないものの、とってもホッコリするお話だった。心が洗われた。
あざとい喋る動物キャラとかCGアニメキャラも無しのファンタジー世界。
完璧な作りのお話ではないけど、コレは何度でも見たいかも。思わぬタイミングで、自分に合う作品を見つけられた時はすごく嬉しい。借りて良かった〜
Melko

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