イチロヲ

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
ストリート・アーティストのドキュメンタリーを製作しようとした人物を追っている、ドキュメンタリー(ややこしいけど、これマジ)。ビデオカメラの撮影マニアである中年男性の映像素材を使用している。

秘密主義のアーティストたちが活動記録を残すことの重要性に気づかされる一方で、撮影者が違法と隣合わせのストリート・アートの魅力に取り込まれていく。善意と自尊心が暴走する過程、モノに対する価値観が狂ってくる感覚などが内包されている。

違法行為であるウォール・アートに同調することは難しいのだが、そこに関わる人物たちを客観的に見る分には楽しむことができる。とりわけ、バンクシーがディズニーランドにオブジェを無断展示するシーンが抱腹絶倒。

タイトルは「お土産屋を通り抜けて出口へ」という意味であり、お土産コーナーに注力している美術館を揶揄している。ギフトショップ行きになってしまった作品たちを、バンクシーが取り返そうとしているように思えてくる。
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