爆裂BOX

ブルーマン/魂の彷徨の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ブルーマン/魂の彷徨(1986年製作の映画)
3.6
映画監督のポールは幽体離脱を繰り返すという奇妙な感覚に悩まされる。さらに、知人が次々と奇妙な死を遂げ、刑事から犯人と疑われ始め…というストーリー。
カレン・ブラック出演のミステリーホラー。「ブルーマン」と聞くとあの青いパフォーマンスチームが思い浮かびますが、当然ながら全く関係ありません。監督は「血のバレンタイン」のジョージ・ミハルカ。
かつて「さまよう魂」という映画を撮るも、今は妻と一人息子を喰わせる為CM監督を手掛けているポールは、パーティで知り合ったダンサージャナスと出会ったことで幽体離脱体験を味わいその感覚にのめりこむも、やがて知人が謎の死を遂げ、刑事カウフマンはそれが殺人ではないか?と疑い捜査を始める。義父が死んだ事からポールも幽体離脱中に殺人を犯しているのでは?と自分で調査を始めるという内容です。
「血のバレンタイン」とうって変わって今作ではゴア描写もなく派手なシーンもない静かな作品になっています。犠牲者の死に方も幽体離脱した霊体?と遭遇して驚愕した後倒れてのたうち回ったり、壁に貼り付けられて泡吹いたりと地味な物です。身体がボコボコ波打つ所は破裂するかと思ったらそんな事なかったですね。
ただ、派手なシーンないながら死因は心臓麻痺ながら人為的な物が加わっているのではないかと捜査を始めて、ポールが監督した映画「さまよう魂」を見てヒントを得たり犠牲者の関係者であるポールの元を訪れたりとミステリー調の展開になって、雰囲気も良くて意外と退屈せずに見れました。ポールの妻や息子にも危険が及び、ジワジワ追い詰められていく展開も良いですね。
幽体離脱した霊体視点の空中に浮かび上がりグルグル空中を漂うようなカメラワークが印象に残りますね。東洋めいた物悲しい感じのBGMも妙に耳に残ります。
カレン・ブラックは主人公ポールに幽体離脱についてアドバイスするダンサージャナス役で、前半登場シーン少ないながらも不気味な存在感はなっています。終盤で見せる形相も迫力たっぷりでした。
ポールが製作した映画に出てくる老夫婦のインタビュー映像等からポールの知人を死に至らしめ、追い詰めていくものの正体は予測付きますが、幽体離脱というテーマからオカルト物かと思ったら、一種のヴァンパイア物であり、ボディスナッチ物でもあるんですね。「ゲット・アウト」彷彿もしました。
終盤での相手の正体に気づいたポールとカウフマン刑事、ジャナスが対決する終盤はブルーがかった映像と共に派手さはないけど緊迫感あって楽しめました。
無事解決したかと思わせて、不穏さが残るラストも良いですね。いきなり最後日本に舞台移って終わるとは思わなかったけど(笑)カウフマン刑事孤立してるように思えなかったけど、どうやって移ったんだろ?あの恋人の女性は予備の身体として用意されてたのか。
地味な作品ではありますが、全編に漂う薄気味悪い雰囲気など意外と飽きずに最後まで見れるミステリーホラーでした。