Eyesworth

ことの次第のEyesworthのレビュー・感想・評価

ことの次第(1981年製作の映画)
4.4
【船が沈むような日没だった】

ヴィム・ヴェンダース監督の1982年の異色作

〈あらすじ〉
SF古典のリメイクを撮影中の一隊は資金が底をつき、ポルトガルの海岸の村で立ち往生する。監督のフリッツはプロデューサーと連絡が取れず、業を煮やしたあげく、会うために自らロスに飛ぶが...。

〈所感〉
ヴィム・ヴェンダースはモノクロとの相性が良く、廃墟の画とか素晴らしい。でもこの映画ではモノクロはやはりダメだと否定している二重構造。映画ではあるんだけど、ある事情から撮影が滞って全く撮れない人達を描いている映画ってのが物珍しい。ラストは謎にサスペンス要素が強い。『ベルリン・天使の詩』のような観念的・哲学的な台詞の応酬が続くが、天使ではなく人間が語ると途端に嘘くさくなる。さほど面白い動きがあるわけではなく、ただただ停滞感・倦怠感が画面を飲み込んでいく。うーん、なんでこんな映画を撮ったのだろうか?映画のすべてが成功すると思うなよ!我々が見ている映画なんて氷山の一角も一角なんだぞ、と個人的に自戒したい。
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