藤見実

悪徳の藤見実のレビュー・感想・評価

悪徳(1955年製作の映画)
3.5
もちろんラストシーンは『インランドエンパイア』でしょう。痛烈なハリウッド批判であるだけでなく、リテラルに第四の壁を破ってくる怪作である。

アルドリッチにおける「二階」(「世事(俗世)」からの距離としての二階(しかもそんな領域は存在し得ない))がなんなのかを最も体現した映画であり、他の作品のネタバレ補強になっているような内容ともいえる。しかもこれって実は演劇なのよな

アルドリッチ=増村的な問題意識×ハリウッドが「ルオーのピエロ」として出力され、神聖をもたらされるのにやられてしまった。みんな「ピエロ」の話をするならこの映画を忘れないでほしい。


些末な追記
ペンを使って契約書をかかせるところはイヨネスコの授業じゃないか。
藤見実

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