【ウィリアム・キャッスルが『インセプション』のような映画を撮っていた件】 先日、『ティングラー/背すじに潜む恐怖』でギミックの帝王ウィリアム・キャッスルを知ったのだが、調べれば調べるほど彼から面白いエピソードや日本ではあまり紹介されていないユニークな映画が出てくる。彼といえば『地獄へつづく部屋』、『ティングラー 背すじに潜む恐怖』、『13ゴースト』とホラー映画のイメージが強いのですが、それは割と後期であり、元々はフィルムノワール作家だった。50年代に西部劇や冒険活劇に手を伸ばし、『Fort Ti 』、『Jesse James vs. the Daltons』で3D西部劇に活路を見出していた。また、デスノートのような映画を作ったり、上映中の投票で映画の展開が変わる方式(実際にはハッタリだったらしい)を生み出していた。彼の伝記映画が作られたら面白そうだなと思う。
さて、調べている中で一本の映画に出会った。"Project X"こと『危機一髪!西半球最後の日』だ。L. P. デイヴィスの「虚構の男」、「Psychogeist」を基にした映画なのですが、あらすじを読んで驚いた。もろ『インセプション』だったのです。スパイが重要な情報を持ち帰るも敵の策略によって記憶喪失になってしまう。そんな彼から情報を入手しようと、スパイたちが偽の記憶を植え付け脳をハッキングするという内容なのです。クリストファー・ノーランがこの映画、または原作から影響受けた話は聞いたことないのですが、少なくともウィリアム・キャッスル版の『インセプション』が観られることだけでも嬉しい。