春花とおく

ロッキー5/最後のドラマの春花とおくのレビュー・感想・評価

ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)
4.5
序盤、ジムで過去に思いを馳せるシーンは史上一心にきた。師を失い、親友を失い、そして生きがいを失った。そこで、ロッキーは原点に立ち返る。違うのは、今の彼には強くなったエイドリアンがいて、また息子がいる。そしてやっと生きがいを見つけ(心)豊かな生活を取り戻す。しかし、トミーの裏切りにあい、また家族との関係も危ぶまれる。失意に沈むロッキー。しかし、彼は逆境をバネに生きてきた。裏切られた悲しみ。師との記憶。諸々の思いを胸にまた立ちあがる──

大きな構造としては「ロッキー」に違いない。だが、他(ファイナル除く)とは一線を画しているのは確か。まず、ロッキーが試合を行わない。最後の喧嘩も、ボクシングではなく、よってロッキー自身がトレーニングすることもない。だから、スポーツものに通じる爽快感だとか、そういった感覚が失われている。またこれまで前半一時間程度までのトレーニングシーン(とロッキーのテーマ!)で興奮を高めていって、試合で爆発させるという「ロッキー」の醍醐味があったが、今作は最後の「戦い」までがより長く、勢いの足りなさをやや感じる。

言うなら、今作は「ロッキー番外編」的な趣を感じる。それが今作の評価が低めな理由なのかもしれない。

ただ、個人的にはそれは悪くなくて、逆に今作はシンプルなスポーツものとしての魅力ではなく、それこそ番外編的なキャラものとしての魅力があるように思う。つまり、ロッキーの親としての一面が重視されたり、選手では無い、個人としての人間性がよく表れたり。いつもより少し複雑で、シンプルで大きな爽快感はないが、染み入るように喜びが溢れるような「ロッキー」もまたいいと思う。


しかし息子ちゃん素直で良い子過ぎるだろう。かわいい。
あとジュエルちゃんの行動がイケメンすぎる。これは惚れる。
春花とおく

春花とおく