いわやん

落胆無用のいわやんのレビュー・感想・評価

落胆無用(1921年製作の映画)
4.5
1921年製作の無声映画。
無声映画の三大喜劇スターで、チャップリン、キートン、それにこの作品のハロルドロイド。

ある街の雑居ビルの隣同士の彼と彼女。
彼女の事務所は「整体クリニック」で、ある時客の減少でクビを宣告される。
隣の彼は、自身の仕事を放り投げ、彼女の整体クリニックの為に、同じビルの軽業師と「ヤラセ」を演じて客を増やす作戦を・・。

何とか客の増えたクリニックの事務所を覗く彼。
喜ぶ彼女の横に、大きな男が。
男と抱き合う彼女を見て、失恋落胆する彼。
自暴自棄になり、自殺を・・。

30分の作品で、大まかに上記の二つのストーリーパートで。
無声映画のコメディらしく、動きが大きく激しく、最小限の字幕が説明補足していて。

無声なので、脇のキャラも分かりやすい設定で、お巡りさんなんかも憎たらしい感じで。

自殺のパートでは、ビルの工事現場の鉄骨のジャングルジムを舞台に、横方向、縦方向とドキドキハラハラがMAX状態。

エンディングも、可愛らしい感じと、トムとジェリー的なオチも。

30分で、この内容を盛り込んで起承転結もしっかりしていて素晴らしいと思いました。

この一連の作品を見てると、ジャッキーチェンや志村けんが影響を受けているのもよく分かります。

鉄骨の上をふらふら歩くシーンは、もちろん当時は特撮的な処理もなく、演者も自身が演じていて、結構引きの画面でも下が映らない程の高さもあって、相当ハードな撮影だったと思われます。
けど、あくまでコメディなので派手な演技とハラハラさせる身のこなしは、今思うと感動すら感じますね。
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