一人旅

くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!-の一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
トム・フーパー監督作。

『英国王のスピーチ』(10)でアカデミー賞を制した英国の俊英:トム・フーパーが、東京在住の英国人作家:デイヴィッド・ピースによる2006年発表のノンフィクション「The Damned Utd」を映画化した2009年制作の伝記ドラマで、英国サッカー界の偉大なる指導者:ブライアン・クラフ(1935-2004)の波乱の軌跡を周囲の人々との関わりの中に映し出しています。

2部リーグ所属のダービー・カウンティの監督としてチームを1部昇格、リーグ優勝に導きながらも、クラブ会長との対立によってチームを離れ、因縁の強豪クラブであるリーズ・ユナイテッドの監督に就任するが、そこでも選手との信頼関係の構築に失敗して就任早々解任されてしまい―という紆余曲折の監督人生を描いた作品で、サッカーのプレーそのものではなく、チームをマネジメントする監督の視点で60~70年代英国サッカーの歴史と裏側を紐解いていきます。

二人三脚でチームの強化に尽力した盟友:ピーター・テイラーとの軋轢と和解、リーズの前任監督であるドン・レヴィーへの苛烈なライバル意識、監督としての実績に比例して増幅してゆく野心と慢心と独善…と下位リーグから1部リーグまで複数のクラブを渡り歩いたブライアン・クラフの挫折と栄光の半生を、彼を取り巻く多くのサッカー関係者との関わりを軸に描き出した伝記ドラマで、ノッティンガム・フォレストの監督としてチームを2年連続でUEFAチャンピオンズカップ(現UEFAチャンピオンズリーグ)優勝に導いた功績は今なお英国サッカーファンの語り草となっています。

主演のマイケル・シーンが強烈な個性の持ち主である主人公クラフを軽妙に演じていますし、彼が成し遂げた実績の影の功労者であるテイラーを個性派:ティモシー・スポールが好演しています。
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