えいがドゥロヴァウ

コントラクト・キラーのえいがドゥロヴァウのレビュー・感想・評価

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)
4.0
イギリス
15年間勤めた会社をクビになったフランス人のヘンリー
知り合いもいない彼は自殺を試みるが臆病で死ねない
そこで殺し屋に自分を殺してもらうよう依頼する
しかしそのあとに出会った女性マーガレットと恋に落ちて死にたくなくなる
契約は続行中
2人は殺し屋に追われつつ、すったもんだを繰り広げます

本日鑑賞した『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』のプロットが本作と非常に似ていたので
家に帰ってから観たくなったので鑑賞しました
カウリスマキ作品を観るたびにブルーレイBOXを所有している歓びを噛み締めております

舞台がイギリスになっても何ら変わらないカウリスマキの世界
特にヘンリーのアパートの内装などを見ていると
国柄なんて関係ないのだなと感じます
そこはマーガレットの「労働階級者に国籍なんて存在しないのよ」という台詞が
バシーンと代弁してくれました
でも労働階級も何も、全く売れないバラの手売りでどうやって生計を立てているのマーガレット?
酒場というのは売る場所としてどうなのマーガレット?

ジャン=ピエール・レオ演じるヘンリーの小市民的なキャラクターが可笑しくて
カウリスマキ作品の主人公のなかでは小柄な彼なので
余計に愛嬌を感じさせます

カウリスマキ本人もカメオ出演していますが
なんといってもジョー・ストラマーがかっこいい
エレキギターのミュート奏法とボンゴという素朴な組み合わせも
とってつけたように後ろに貼りつけられたエルビスの写真も
ナイスです

なかでも一番感情移入したのは殺し屋の家族模様でした
多くは語られませんが娘との2,3の言葉のやりとりを通じて
彼の優しさなど色々なことが見えてきて
ジーンとします