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地球最後の男のkuuのレビュー・感想・評価

地球最後の男(1964年製作の映画)
3.5
『地球最後の男』
原題 The Last Man on Earth
製作年1964年。上映時間86分。
ホラー作家のリチャード・マシスンが1954年に発表した小説 "I Am Legend" (邦題は『吸血鬼』、のち『地球最後の男』、『アイ・アム・レジェンド』と改題)を原作とした1964年公開のイタリア・アメリカ合作のSFホラー映画。
日本劇場未公開。
ウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』版が一番有名かな。
マシスンは映画の脚本にも共同脚本として参加したが、その出来に不満だったため、クレジットはローガン・スワンソンという偽名になっている。
撮影はイタリアのローマで行われ、いくつかのショットはエウローパで撮影された。
アメリカではアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ配給で公開。現
在、本作はパブリック・ドメインとなっている。

破壊的な世界規模の疫病から生き残った唯一の生存者が吸血ゾンビの群衆と戦わなければならない。。。

ウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』版を観、念頭に置いて鑑賞したら古めかしくトロ臭く感じるやも知れません。
しかし、今作品は原作を鑑みたら一味違う作品と変わるやも知れません(あくまでも知れませんですので笑🙇)

ウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』と同じ原作を持つ今作品。
しかし、当時は手に汗握る作品だったとは思う。
また、今作品は同じ小説を原作とする『地球最後の男オメガマン』(1971年)や『アイ・アム・レジェンド』(2007年)よりもはるかに原作に忠実かな。
ただ、主人公の名前は他の作品版ではロバート・ネヴィルだけど、ロバート・モーガンに変えてるかな。
ただ、小説に最も忠実な版とされているにもかかわらず、いくつかの顕著な違いはある。
例えば、吸血ゾンビは動きが遅く、協調性がないように描かれている。
小説では、吸血ゾンビは速く機敏やし、ウィル・スミス版が近いかな。

1954年に発表されたリチャード・マシスンの代表的なSFホラー小説"I Am Legend"は、何よりもまず人物研究であり、活字から映画への実写化を成功させるためには、映画プロデューサーはそのことを受け入れなければならない。
原作の小説は1964年に『地上最後の男』として映画化された。
プロデューサーのシドニー・サルコウは、わずかな予算に阻まれながらも、直感的にできる限りのことをし、当時の小説の実写化としては成功してると思う。
サルコウがやったのは、小説の雰囲気、トーン、空気感、プロットを原始的な方法で伝えることであり、小説の骨子を粗雑にとらえたことやったと思う。
今作品は、特にエンディングにおいて完全な成功を収めたとはチョイ云い難いが(共同脚本を担当したマシスンは最終的にこの作品から距離を置いた)、それにもかかわらず、技術的に優れた後の1971年のリメイク版『地球最後の男オメガマン』を、前述の側面において明らかに凌駕している。
たしかに現代風のエンタメ性としてはウィル・スミス版は一番ハラハラしCOOLやったが。
『地球最後の男オメガマン』は単体で見れば興味深く面白い映画やったけど、小説と照らし合わせると平板になってしまう。
(原作者リチャード・マシスン自身、この映画とウィル・スミス版と小説はまったく別のものだと述べている)。
モーガン(ネヴィル)の戦いは、物理的な脅威としての吸血ゾンビよりも、彼自身の中にある反応との戦いと云える。
モーガン(ネヴィル)は、吸血ゾンビたちという悪夢のような厄介者の存在に加え、終末後の世界の荒廃と破滅が生み出す恐怖、地球上で最後の人間であることの孤独、妻と娘をペストで失うという悲劇的な苦悩とも戦わなければならない。
今作品は、粗雑だが見事な筆致で描かれた一連のフィーリング・トーンにたとえられる。
それ故に、この映画はカルト・クラシックにふさわしい作品と云える。
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