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フォーゲルエート城のarchのレビュー・感想・評価

フォーゲルエート城(1921年製作の映画)
2.8
ムルナウ初期の作品。英題は「The haunted castle」

狩猟を行うために城に集まった男たち。そこに招かれざる客が現れる。彼は兄を殺したのではと訝しまれている。
表現主義っぽいのは夢のシーンぐらいだが、全編に渡るの舞台美術が素晴らしい。
ヘルマン・ヴァルムというドイツ表現主義の美術が炸裂していてこの映画の質感を作り出していた。

夫が聖人になっていくのを見て、悪意に目覚めていく。そしてその悪意が間接的に夫の殺人を引き起こし、その夫を殺した男と共犯者として結婚するという無理くりなどんでん返しは原作からそうなのだろうが、作劇としてあまりに酷い。
疑われていた男、ヒッチコック的に言えば「間違えられた男」の映画としては実はムルナウ作品にありがちなテーマで『最後の男』なんかがそうだろう。
ムルナウのヒューマニズムはヒッチコックや黒澤明のヒューマニズムと冤罪を晒される男を通して語り口が通ずる部分がある。
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