面白いかと言われると微妙だが不思議な魅力をもった作品。
主人公は闘鶏でメダルを獲得するまで沈黙を続けるという謎すぎる設定。
なのだがその無言でぶっきらぼうなキャラによってセンチメントが廃され、安いドラマから切り離されて、闘鶏という残酷な競技に加担させられるような感覚になる。
それはまた、名撮影監督ネストール・アルメンドロスの自然に光を操るカメラ技術によるところも大きい。
死を賭して闘う鶏が目の前に現前するリアル。演出感がないので何が起きたかわからないうちに勝敗がついている。
敗者が転がり、勝者となるコックファイターも人生において負けている。
苦いものが観たい気分のときにお勧め。