爆裂BOX

ターミネーター2018の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ターミネーター2018(2004年製作の映画)
3.0
西暦2018年、ダンテは不法入国の容疑でクファード大佐に逮捕されるも、看守の隙をついて脱走。しかし追っ手として不死身のサイボーグ犬が何処までも追ってくる…というストーリー。
ブライアン・ユズナ監督によるSFホラー。勿論「ターミネーター」とは一切関係なく、ジャケットには半分顔面サイボーグのハスキー犬が写ってますが、原題の「Rottweiler」が示す通り追ってくる犬はロットワイラー犬です。
恋人ウーラとはぐれ、記憶を失ったダンテは脱走して看守を殺して逃亡しウーラを探すも、看守の連れていたサイボーグ犬が何処までも執念深く追跡してくるという内容です。
本作の主役であるサイボーグ犬ロットワイラーは鋼鉄の牙剥きだしたり目を青く光らせたりロボらしさを強調する描写されてますが、それよりも全く可愛らしくもカッコよくも描かれず、顔に傷跡あって薄汚れた外見していて不気味さがあります。鉄パイプでボコボコにされてもショットガンで撃たれても立ち上がって追い掛けてくるしぶとさと、ドアを突き破ったりショットガンに噛みついてボロボロにしたり、走行しているトラックの屋根に飛び乗ったりとパワフルな攻撃見せてくれて怪物としての迫力はあった気がします。監督がホラー畑の人だからか襲われるシーンのスプラッター度は結構高めです。
ただ、看守の最後の命令聞いて主人公だけ襲うかと思ったら、むしろ主人公以外の人結構襲います。最初の奴はブーツ盗んで主人公の匂い移ったからかと思ったけど、次の母娘の母親は主人公がこっち来いと言ってたのにそっち襲ったのは意味わかりませんでしたね。
このサイボーグ犬から逃げる主人公の逃亡劇がメインですが、看守のブーツ盗むけどすぐ別の奴に盗まれたり、逃げてる途中に呑気に水浴びしてて襲われて全裸で逃げる事になったり、途中で逃げ込んだ民家の母娘の母に逆レ〇プされたりと中々の珍道中ぶりですが、トーンが暗いのであまり笑えることもなく(地下に閉じ込められたサイボーグ犬が地下への扉突き破った時の鶏のビックリ顔は笑いましたが)。道中主人公が過去の記憶を思い出すシーンも挟まれて何が起こったのかの謎解きっぽい作りも入れてますが、割と簡単に先が読める適当さです。
そもそもこの主人公がヘタレでバカで感情移入できません。捕まった理由も恋人と「不法入国ゲーム」してたからというクソみたいな理由な時点でどっちにも肩入れできませんし、主人公を助けるために大佐に身体差し出して傷ついてる彼女に「感じてたよな」とか言ってつむじ曲げるし記憶無くした理由も現実逃避からっぽいし、最後まで精神的に成長した感じないしクズでバカな奴だなぁという印象で人物像が明らかになるにつれてテンション下がっていく感じでした。全裸で対岸に逃げてサイボーグ犬を挑発する姿の情けなさときたら…最後までロクに対決しないし。
スペインを代表する怪奇俳優ポール・ナッシーが大佐役で悪辣な存在感発揮してました。また、親子の娘役でイバナ・バゲロちゃんも出てました。
最後に明らかになるオチも無理ある気がしますね。飼い主にまで噛みつくサイボーグ犬のポンコツぶりと「俺じゃない~!」には失笑してしまいました。炎の中から外骨格だけになったサイボーグ犬が現れるシーンは「ターミネーター」感出てたので邦題はここからでしょうね。炎の中で対峙する姿は妙にカッコよかったかな。
最後は妙に物悲しい雰囲気出してましたね。
サイボーグ犬の不気味さは良かったけど全体的には中途半端なB級映画という感じでしたね。1977年の「ドッグチェイス」という映画のリメイクのようでそちらも見てみたいですね(ソフト化されてないようですが)