本作は核兵器開発競争などで当時クローズアップされていたインドとパキスタンの政治上の対立を描いたもので、緊迫した両国の関係をモチーフに、平和への祈りを込めてインド映画の映画作家が生前最後に手がけた3時間を超える作品で、この度アップリンクから発売されているVHSをお借りして初鑑賞した。1992年のインド映画で、パキスタンの国境にほど近いカシミールの村に住むインド人と結婚式の宴の夜に、大雨で車がスリップして川に落ち、パキスタンへ流れ着き、美少女に助けられてから2人の隔てられた愛が映し出されていくラブアドベンチャーで、インドへの銃撃だったり、平和への祈りを込めている映像が伝わる物語で、半島ドラマでNetflix限定のもので……不時着、と言うのにすごく雰囲気が似ているのかもしれない。そっちのドラマは見たことがないから何とも言えないが。やはり対立している国同士スパイだと思ってしまうのは仕方ないが、拷問などをとにもかくにもインドとパキスタン部隊に国家権力に愛が挑む姿をとらえた秀作である。

パキスタンの女が川に流れる傷だらけの全裸男を救出し介護する。
男は意識不明、女の懸命な看病により次第に回復するがあろう事か記憶を失っている。

2人は互いに愛し合い結婚することを誓い、村総出で2人の結婚を祝福する…が、フラッシュバックのように男の失われた記憶が全て蘇り、代わりに記憶喪失だった間の記憶を全て喪失してしまう。

｢ここはどこだ？お前は誰だ？｣

男の正体はインド人であり、インドには婚約者がいると…事故に遭い川に流されここまで辿り着いてしまったと…。

男はインドからのスパイだと疑われパキスタンの牢に入れられる。
しかしインドには男の帰りを待ち受ける婚約者の存在が。パキスタンの女は愛してしまったインドの男を助けるべく家族を引き連れ交渉に出る。

スパイの疑いが晴れた男はインドに帰してもらうことが決まるが、インドとパキスタンの国境沿いで火種が飛ぶ。両国一歩も譲らない銃撃戦に、2人のどうしようもなく切なく儚い恋は終わる…。

インド、パキスタンの反戦映画を王道で貫いた愛の冒険譚。あまりにも低い知名度と反してしっかりした作り。飽きるほど長い踊りパート含めまさに求めていたインド映画。

純愛、正義、反戦。