とある日の夜遅く、雪深い村の宿屋にたどり着いたK。彼はウェストウェスト伯爵の城の所領であるこの村に、城の依頼で測量士としてやって来たのだった。
翌日からKは城に行こうとするが、どうやってもたどり着けない。おまけに、城に入るための許可を得ようとしても、城の執事や長官、村長の間でたらい回しにされてしまい埒が明かない。
さらには「村に測量士はいらない」と言われていまい…という話。
ハネケマラソン第7弾は、カフカ原作の「城」をハネケがテレビ映画化したもの。
大昔に読んだ原作をほとんど覚えていないので自分では本作との比較ができないんだけども、他のレビューとかを見る限り、かなり忠実に作っているらしい。
そのせいなのかどうか、他のハネケ作品のような不穏な緊張感はなくて、不条理な内容の割に穏やかに見ることができた。原作よりもマイルドなのかも。
うすらおぼろげではあるものの、カフカの不条理な世界もまた容赦ないイメージがあって、この「城」もあらすじにあるように主人公Kはいつまでも城にたどり着けないばかりか、仕事を始める前に職を失ったり、村に留まる権利すら認められずにひどい目にあったりする。
ハネケによる映像化なら、もっともっと徹底的に理不尽な描き方もできたような気がするから、やっぱりあえて控え目にしているのかもしれない。(ハネケマラソンのせいで毒されているような気がしなくもない)
物語は進んでいるのか戻っているのか時々わからなくなる独特なものだったんだけどもこれが割と良かったので、改めて原作も読んでみようと思う。