Panierz

カフカの「城」のPanierzのレビュー・感想・評価

カフカの「城」(1997年製作の映画)
4.0
未完である、ということそのものを主題にカフカの未完の小説である「城」を映像化してるとこに好感を持てる。この世の誰もがみな歩みを進めながらもどこに向かっているのか、何に接近しているのか、自分自身では分かっていない。城を一回も映さないことで不可視の権力を、雪道を歩く鈍重なトラベリングショットで先の見えない絶望感を、無駄なく表現するハネケの視座は明晰で鋭い。
テレビ映画として作られた本作は、劇場映画とは作り方が違いハネケの作家性は排除されているが、カフカの断片化されたテクストが結果としてハネケっぽさを演出するという倒錯的な面白さもある。
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