KnightsofOdessa

郵便配達は二度ベルを鳴らすのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.5
No.203[100年の恋も冷めるであろう"徒歩での駆け落ち"] 70点

転がってきたリップからヌーっとカメラが動いてラナ・ターナーの生足が登場するというエロすぎる冒頭からすぐ後に、ジョン・ガーフィールドが彼女を唇を奪い、彼女はもう一度リップを塗り直す。これはラナ・ターナーの最後の動作でもあり、リップを拾い上げたジョン・ガーフィールドのおかげで、彼女は再びリップを手放す羽目になるのだ。前半1時間は邪魔な旦那を間に置いた殺す/殺さない、くっつく/離れるのギャグ展開で、特に100年の恋も冷めるであろう"徒歩で駆け落ち"というシュールな光景は脳裏に焼き付いて離れない。なにせ燃え上がる感情の下で店を飛び出した二人が、徒歩で移動しながら次第に冷静になっていき、家から全然離れてないとこで音を上げて帰宅するのだから笑ってしまう。旦那を排除した後半は当然のように法廷劇から愛憎劇に発展し、やたらと人間臭い人々の"その後"を眺める。後手後手で面白いが、人間こんなもんだろう。

後々数多くのリメイクが別のテイストでなされていることを考えても、原作の普遍的なポテンシャルの高さが垣間見える。
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