KnightsofOdessa

僕はキャプテンのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

僕はキャプテン(2023年製作の映画)
2.0
[少年たちの過酷な移民旅] 40点

2023年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。2024年アカデミー国際長編映画賞イタリア代表。マッテオ・ガローネ長編11作目。セネガルからサハラ砂漠と地中海を超えてイタリアを目指す二人の少年セイドゥとムサの物語。漠然とした目的を抱えたままイタリア行きを決意した二人は、家族に伝えることなく過酷な旅に出る…くらいまでは良かったんだが、砂漠を超えるシーンの砂漠の美しい撮り方なんかはジャンフランコ・ロージ『国境の夜想曲』に似ていて、まさにヴェネツィア映画祭を意識したのかなぁと感じてしまい、セイドゥの素晴らしい演技に心打たれるよりもノイズが上回ってしまった。その後に淡々と描かれるセイドゥの受難と幾ばくかの希望も、ある意味で白人たちが見ていたい不法移民の現実といった感じで、それを白人が作って白人の映画祭に出して評価されてんだよなあと思うと正直残酷すぎるだという印象で、全くノレなかった。砂漠で倒れたおばちゃんが宙に浮くという幻想的なシーンも映画祭対策というか、こういうの見たいんでしょという監督側の意図を強く感じさせられる。ラストも画としては希望的だが、セイドゥの声をヘリの音が掻き消していくという不穏さの方が勝っていて、そこで終わらせるズルさみたいなのを感じてしまった。欠片も合わない映画だった。同じヴェネツィア映画祭のコンペに出たアグニェシュカ・ホランド『人間の境界』は後半の展開が好きじゃなかったけど、白人が撮った難民映画として真摯な作品だったので、一概に白人が撮ることが悪いとは思わないが、ここまでクリシェまみれのエンタメを作られると流石に引いてしまう。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa