KnightsofOdessa

天使の顔のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

天使の顔(1953年製作の映画)
3.5
No.244[メンヘラ娘に目をつけられたら…] 70点

天使というより悪魔な気もするが、実際ルーニー・マーラにしか見えないジーン・シモンズは可愛い。救急車の運転手が出動先のメンヘラ娘に目をつけられて人生終了したという話で、序盤のサイコスリラー的展開から謎の裁判に突入し前半の内容を言葉で繰り返す謎の演出を経て車の転覆を反復する。実際メンヘラと付き合った経験があれば"確かにー"と頷ける場面しか無いが、私はミッチャムほど強くなかったので洗濯機で洗われる靴下並にもみくちゃにされた半年間だったことしか記憶にないからなんとも言えないのが事実。取り敢えず"メンヘラと付き合うとこっちの精神まで磨り減るぞ"とだけ言っておくが、ミッチャムは巻き込まれで死まで直走った訳だから同情しちゃうわ。

にしても、ノワールという区分に入れていいのか悩むくらい定義値からは外れていたように思える。同じミッチャムの「過去を逃れて」では女に振り回されていた彼も本作品では存外に冷静だったし、シモンズもファムファタールにしては感情的というか本当にただのメンヘラだったし、まずどの男も惑わせてないから名乗る資格がない。精神異常系ファムファタールは「拳銃魔」のカミンズ姐さんを思い出すけど、あいつは完全にイカれていた。かまってちゃん的なメンヘラとは格が違うんすよ。

あのシモンズの髪型は「第七の犠牲者」のお姉ちゃんを思い出してしまう。思い返してみればかなり振り切れた映画だった。これからもキム・ハンター=星野みなみ説を唱えていきたい。以上。
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