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左利きの女のQIのレビュー・感想・評価

左利きの女(1977年製作の映画)
3.8
【12ヶ月のシネマリレー】

“天使👼じゃないブルーノ・ガンツ”

制作:ヴィム・ヴェンダース
監督・脚本:ペーター・ハントケ

ハントケ監督はヴェンダースと映画制作を共にし『ベルリン天使の詩』でも脚本を務めたノーベル文学賞作家

自立したい妻が夫ブルーノ(役名もそのままw)に印籠を渡し、自分の居場所探しをするというお話

その映像は本職が作家とは思えないほど構図がバッチリ決まり、そして美しい

ただ物語(脚本・編集)は流石ノーベル賞作家だけあってとても散文的

なので、観客にはその行間を埋める想像力が求められます。

そしてこのコンビで作られた本作は当然のことながらOZUオマージュ抜きでは語れません

フィックスカメラの多用
日常風景の切り取り
色彩が印象的な静止物のインサート
子供達の無邪気な(シュールなw)行動
etc.etc.

…に加えてOZU作品(『東京の合唱』?)の映像をそのまま引用するだけでなく巨大なOZU監督のポートレートが部屋の壁に貼ってあるのにはチョット苦笑w

物語の帰結も、父と娘の関係をトリガーにしながら家族のあり方へと落とし込んでいるのもどこかOZUっぽい

最後にスクリーンに映し出される言葉

「今ここにいるのに、ふさわしい場所がないなどと嘆くものではない」

OZU作品でよく描かれる“日常の何気ない生活の中にある幸せ”をそのまま言葉にしてこの作品のテーマをはっきりと示してくれるという親切設計w

ハントケ監督も映像だけではテーマが伝わりにくいと思ってしまったのかなぁ😅

p.s.
左利き=left handed
“不器用な”という意味もあります
これを知っていると本作は少しわかりやすくなるかも😉
QI

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