佐藤克巳

乳母車の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

乳母車(1956年製作の映画)
4.0
50年代の生活のリズムが心地よく、自分の子供時代を被せて久しぶりに拝見した。平穏無事だった新珠三千代親子に、若い誠実な石原裕次郎と芦川いづみが介入し、宇野重吉と山根寿子の夫婦関係共々壊わしてしまった印象。壊したものを再構築する事は難しいが、時代は明るい未来に向かって前向きだった。若い二人が結ばれる暗示から、乳母車に乗った赤ちゃんは無事幸せになるだろうという結末で、田坂具隆監督作品らしく誇らしくも気高い青春映画の秀作となった。
佐藤克巳

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