一人旅

愛のそよ風の一人旅のレビュー・感想・評価

愛のそよ風(1973年製作の映画)
5.0
クリント・イーストウッド監督作。

ハリウッドの生ける伝説ことクリント・イーストウッドの、『恐怖のメロディ』(71)、『荒野のストレンジャー』(72)に続く監督第3作目で、キャリアで初めて俳優ではなく監督業に専念した作品であります。

妻と別れ、豪邸で一人寂しく暮らしている不動産業の老境の男と、身寄りがなく放浪生活をしているヒッピー風情の若い女性の邂逅と愛の行方を描いた“年の差恋愛映画”で、名優:ウィリアム・ホールデンが男を演じ、新星:ケイ・レンツが奔放なヒロインを好演しています。

人生の哀楽を知り過ぎたゆえに愛を信じられなくなった孤独な男と、見返りを求めず彼に愛情を抱き続ける奔放な女性の恋愛ドラマであり、老いと若さの対比の中で、男の諦念的で硬直した恋愛観を女性のピュアで真っ直ぐな愛情が優しく解きほぐしていきます。祖父と孫娘ほどに年が離れた男女の恋愛を描いた作品なので、観る人によっては受けつけない内容かもしれませんが、周囲の偏見や誤解に晒されながらも愛情というかけがえのない感情で結ばれていく男女を爽やかに描いた名篇で、撮影時21歳のケイ・レンツが見せる屈託のないヌードシーンも見せ場となっています。

蛇足)
海辺の遊歩道を歩く二人がすれ違うナイスガイは、監督のクリント・イーストウッドです(カメオ出演)。
一人旅

一人旅